昨日、宇宙人にさらわれました。

インタビュー

 

昨日、宇宙人にさらわれました。僕。

あまりに突然の出来事だったんでびっくりしましたが、せっかくなのでインタビューをしてみました。

 

福本
たださらわれるだけじゃ勿体ないんでインタビューさせてください。

福本です。どうぞよろしくお願いします。

宇宙人さん
さらわれた時に勿体ない精神発揮するのって珍しいですね。

宇宙人です。よろしくお願いします。

福本
まず、いきなりなんですけど宇宙人さんって本当にいるんですね。
宇宙人さん
そうですね。実在させてもらってます。
福本
なんか目の前にいたらさん付けになっちゃいますね。普段は宇宙人って言ってるのに。

てか、自分から宇宙人ですって自己紹介するんですね。

宇宙人さん
ま、気を使ってますからね。
福本
気を使う?
宇宙人さん
まずそちらの言葉に合わせて喋っています。私、頭もいいんで日本語とかも余裕なんです。

私の本名パピルポピン・パパルとか言っても伝わりづらいでしょ?

福本
そうですね。発音がきもちわりぃんで何かですね。高音すぎてうるさいし。
宇宙人さん
そこまで見越して宇宙人ですって自己紹介してます。キーも下げますよじゃあ。
福本
優しさエグいっすね。あとオクターブ広いですね。

UFOの中って大体こんなもんなんですか?

宇宙人さん
こんなもんって何よ?
福本
2DKくらいなんですね。
宇宙人さん
なんか、不満そうですね。
福本
狭くないですか?
宇宙人さん
うるさいね。
福本
UFOって結構、大きいイメージだったから・・・。

ヤンキーカップルが同棲してる部屋くらいの感じですよね、これじゃあ。

宇宙人さん
パチンコから帰ってきて愛を確かめ合うにはちょうどいい広さでしょ。
福本
え。例えめっちゃ伝わるじゃないですか。しかもかぶせてきてるし。
宇宙人さん
わかりますよそれくらい。結構、地球詳しいですからね私。
福本
あぁそうなんだ!なんか親近感、湧きますね。
宇宙人さん
心の距離が何億光年分も近付きましたね。
福本
あ、あぁ。
宇宙人さん
宇宙ギャグは伝わらんのかい。
福本
そっか。失礼しました。もう一回いけます?リアクションし直すんで。
宇宙人さん
それを人はヤラセと呼びます。こういうのは2回言っていいことないですから。
福本
なんかすみません。

お詫びと言ってはなんですけど、質問してもいいですか?

宇宙人さん
詫びになってないんですけどね。
福本
宇宙人さんは何で僕をさらったんですか?
宇宙人さん
あ、ようやく確信に迫る質問きましたね。
福本
僕の中のジャーナリズム精神が溢れてきました。
宇宙人さん
うん、遅いけどね。
福本
なんだよ、コラァ!!
宇宙人さん
かんしゃくで乗り切ろうとすな。
福本
教えてくださいよ。
宇宙人さん
もちろん話しますよ。まずね、本当のことを言うとさらってはいないんです
福本
どういうことですか?
宇宙人さん
よく皆「さらわれる!」とか言うじゃないですか?

でも本当にさらわれてるならこういう事実を知る人は誰もいないわけですよ。

福本
どういうことですか?
宇宙人さん
みんな生還してるからこそ話ができたり、描写できるわけです。

私たちは人間をさらってはいません。少しお話に付き合ってもらってるだけなんです。そしてある程度、話を聞けたら必ず解放してるんですよ。

福本
どういうことですか?
宇宙人さん
もう何なの。スヌーズ機能ついてるの?
福本
どういうことですか?
宇宙人さん
私の例えは一個も刺さらないのね。
福本
どういうことですか?
宇宙人さん
「どういうことですか」を大量生産する工場?
福本
工場ではございませんが、ペラペラとお喋りをし過ぎましたのは口上でございやすね。
宇宙人さん
急に落語家?
福本
あぁ、すいません。

つまりさらってないという事なんですね!では人間から何を聞き出しているんですか?

地球を侵略するための準備ですか?

宇宙人さん
インタビュアーとしての自我を取り戻すまでが早いな。

 

いや、全然そんな事ないんですよ。侵略なんて面白くない事はしません

「最近、何してる時が楽しいですか?」とか

「あなたはこれから何をやりたいんですか?」とかを聞いてます。

福本
日常会話じゃないですか!何でそんな事聞いてるんですか?
宇宙人さん
暇なんです。
福本
ん?
宇宙人さん
私たち宇宙人って、暇なんですよ

 

基本的に死なないんです。寿命ないし、傷は自然治癒能力で治せるし、争うような相手もいないし。

福本
へー。そうなんですね。聞いてるとすごくいいですけど。
宇宙人さん
やる事がないんです。

 

だから遠路はるばる地球まで来て暇つぶしをしてます。一人ずつ自分のUFOに招いて話を聞くなんていう非効率なことが愛しくなってきちゃうんですよね

福本
なるほどね。

でも人間の中にもやる事がない人ってたくさんいますよねぇ。

宇宙人さん
それが驚きなんですよね。たった100年しか生きられないのに暇だと感じるのが不思議です。

私だって暇だと感じ始めたのは5、600歳の頃でしたよ。

福本
宇宙人さん、何歳なんだろ。。

 

さらう…いや、お話しする人ってどうやって選んでいるんですか?

何で今回は僕だったんでしょう?

宇宙人さん
ページをめくる音が聞こえたから。
福本
ページをめくる音?
宇宙人さん
人生っていう物語のページをめくる音が聞こえたからですよ。
福本
また小洒落た表現を。
宇宙人さん
福本さんは次のページに何を描きますか?
福本
僕は詩を書いてます。これからも多くの人にこの生き様みたいなのを伝えていきたいです。
宇宙人さん
うん。それはなぜですか?
福本
みんなが自分の思ったことを吐き出せる場所を作りたいんです

僕はその一つがだと思うんです。

詩の中では何を言ってもいいです。言葉が間違っても、意味が通らなくてもいい。

他の誰がわからなくてもいいんです。自由なんです。他の誰も犯せない聖域なんです。

宇宙人さん
なるほど。
福本
だから詩というものの認知をもっともっと広げて、もっと流行らせて、個人の聖域を増やしたい。

 

そしてゆくゆくは

誰もが自分の思いを吐き出せる世界」を作りたいんです。

宇宙人さん
生きていて建前とか嘘とかは世界に渦巻くけど、

いつでも詩の中には本当の言葉がある。っていうことですよね。

福本
一番言いたかったこと言わないでくれます?
宇宙人さん
すみません。
福本
何か、どっちがインタビュアーかわからなくなっちゃいましたね。
宇宙人さん
まぁいいんですよ。楽しかったですから。
福本
それはよかったです。宇宙人さんは寂しさとか感じないんですか?
宇宙人さん
独りだから寂しいですよ。何かを埋めるためにこんなことをしてるのかも知れません。寂しさって宇宙共通なんですかね。
福本
人間と変わらないのか。にしても狭いUFOですよね。
宇宙人さん
また言いますか。私はこれで十分なんです。

 

ワレワレハ」とか言った事ないんですよね。独りだから笑

福本
ははは。
宇宙人さん
気楽なもんです。
福本
今日は話せてよかったです。ありがとうございました。
宇宙人さん
こちらこそありがとう。
福本
また会えるかな。
宇宙人さん
また会えますよ。物語がまた少し進んだときにでも。
福本
そうですね。この短時間で心の距離が何億光年分も近付きましたね。
宇宙人さん
なんだよ。

ちゃんとわかってるじゃん。

 

 


インタビュアー:福本 和哉

詩人やライターとして活動。インタビュー終えた後「楽しかったです!」と言われる確率90%。リズムとユーモアを大事にした読みやすい文を書きます。インタビューやライターなどのお仕事依頼はコチラ。想いを言葉にするのが得意です。詩人としての作品が気になった方はコチラを見てください。懇願。